読書する

マイペースに本を読んでくだらない書評をする

死海のほとり 遠藤周作

1973著。キリスト教を扱った本。旅の体験記と聖書を砕いた物語からなっている。

体験記と物語が交互に進行し村上春樹世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を連想させる。

灰色の街、廃れた修道院のような暗い場面が多い。

 

キリスト教の聖地イスラエル(一応戦争中)への旅から日本の世界二次大戦、ナチスユダヤ人虐殺、キリストの磔刑などの話が織り交ざり話が進んでいく。

 

一部キリスト教に縁がないと読みにくいところもある。キリストはいつもわれわれのそばにいる。とか。

全体をなしているキリスト教の思想は一般的なものとかけ離れている。(本の中にも古い考え方だと言われている)

 

イエス像とは何なのか、旅の中で探していく。

しかし今イスラエルにある石碑や聖書の言葉は後世の人々が神聖化し本来とは違うものになってしまっている。というのがこの本の基盤的な考え方。

 

神話化されたパンが永遠に湧いたり水を葡萄酒になる話はそぎ落とされ 結局誰からも見落とされ死刑にされるイエス像が描かれている。

 

働きもせずプラプラ旅をして誰も相手にしない病人や女子供らを慰める姿は確かに良いのか悪いのかは判断がつかなかった。

愛に生きるとはこういうことらしい。

 

作者も考え付いた先に見たイエス像に困惑する。

犯罪者の身代わりになって死んだイエス・キリストは何をしたかったのか。

その後現実は簡単には変わらないと死刑執行したローマ人が言う中 どういうわけかキリスト教ができあがる。

誰もがやさしい行動をするときにイエスキリストの姿をそこに見る。

 

キリストの生き方を見ながら自分を見つめなおす本だった